パターン別 主婦・主夫

主婦・主夫ルート:扶養のラインを確認しながら小さく始める

ひとことで言うと

扶養には3つのラインがあります。いちばん影響が大きいのは「健康保険の扶養(収入130万円未満)」です。家族の税金の控除は所得62万円をこえてもいきなりゼロにはならず、95万円までは同じ額です。売上と経費を記録して、どのラインに近いかを確かめながら進めましょう。

最終確認日:

ポンちゃん
「扶養の範囲で」ってよく聞くけど、実はラインが3つあるんだ。どれの話をしているのかを分けて考えれば、こわくないよ!

主婦・主夫ルートは5マス

  1. 13つのラインを知る健康保険の扶養、家族の税金、自分の税金。ラインも数え方も別です。
  2. 21年の見込みを立てる売上と経費を記録して、どのラインに近いかを確かめます。
  3. 3開業届と青色申告を考える青色申告の控除は、税金のラインに効きます。
  4. 4扶養を外れるときの手続き健康保険と年金を切り替え、家族の勤め先にも伝えます。
  5. 5申告を忘れない確定申告が必要か、住民税の申告が必要かを確認します。

1. 気にするラインは3つ

「扶養の範囲で働く」というときのラインは、次の3つです。何で数えるか(収入か所得か)と、超えるとだれのお金に響くかがそれぞれ違います。

収入=売上の合計。所得=売上から経費を引いた額(青色申告ならさらに控除を引いた額)。

1

家族の健康保険の扶養

収入 130万円未満

外れると:自分で健康保険と年金の保険料を払う

これからの1年の見込みで判断します。外れると、国民年金保険料だけで年215,040円。国民健康保険料もかかります。

いちばん影響が大きい
2

家族の税金(配偶者控除・配偶者特別控除)

所得 95万円まで同じ

超えると:家族の所得税が少しずつ増える

所得62万円以下なら配偶者控除、こえると配偶者特別控除に切り替わりますが、95万円までは控除額は同じです。そこから段階的に減り、133万円をこえるとゼロ。

3

自分の所得税

所得 104万円以下

超えると:自分に所得税がかかる

基礎控除(令和8年分)の範囲なら、所得税はかかりません。住民税は所得税とラインが別なので、市区町村で確認を。

家族の控除は「壁」ではなく「坂」

配偶者の所得ごとの、家族が受けられる控除額です(家族本人の所得が900万円以下の場合、令和8年分)。

控除額は、控除を受ける家族本人の合計所得金額が900万円以下の場合。家族本人の合計所得金額が1,000万円をこえると、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。家族の勤め先の「家族手当」は会社ごとのルールで決まるので、税金や健康保険のラインとは別に確認してください。

カタカタ
よく聞く「62万円の壁」は、家族の税金ではほとんど段差がないんだ。いちばん気をつけたいのは、自分の保険料が発生する健康保険の130万円だよ。

2. 1年の見込みを立てて、どのラインに近いか確かめる

毎月の売上と経費を記録して、年末までの見込みを立てておきましょう。たとえば売上180万円、経費60万円の人なら、こうなります。

白色申告青色申告(65万円控除)
所得青色は65万円の控除を引いたあと120万円55万円
家族の配偶者(特別)控除家族の税金が安くなる額のもと16万円38万円
自分の所得税所得104万円以下ならかからない(ほかに所得がない場合)かかるかからない
家族の健康保険の扶養健康保険によって数え方が違う売上で見る健康保険なら180万円 → 外れる
売上−経費で見る健康保険なら120万円 → 入れる
青色申告の控除は、差し引かない健康保険もある

同じ売上でも、健康保険の数え方しだいで結果が変わります。始める前に、家族の勤め先の健康保険に「事業の収入はどう数えるか」を聞いておくのがいちばん確実です。

過去の収入ではなく、これからの見込みで判断します。事業の収入の数え方(売上のまま見るか、経費を引くか、どの経費を認めるか)は健康保険によって違います。青色申告特別控除は差し引かない健康保険もあります。家族の勤め先の健康保険に確認してください。

家で仕事をする人は、家賃や電気代の一部を経費にできることがあります。ただし、仕事に直接必要だった部分を、取引の記録などで明らかに区分できる金額だけが経費になる。

3. 開業届と青色申告を考える

続けて事業をするなら、開業届と青色申告承認申請書を出しておくと、青色申告特別控除(最大65万円)を使えます。青色申告の申請は青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内)です。

効く家族の税金(ライン2)と自分の所得税(ライン3)。控除を引いたあとの所得で判断するからです。

効かないことがある健康保険の扶養(ライン1)。青色申告の控除を収入から差し引かない健康保険もあるためです。

65万円の控除には、複式簿記での記帳と、e-Taxでの申告などが必要です。条件を満たさないと55万円や10万円になります。

開業届を出したことで、家族の健康保険の扶養の扱いが変わるかどうかも、健康保険によって違います。出す前に家族の勤め先の健康保険に聞いておくと安心です。

届出の出し方は「届け出る」マスへ →

4. 扶養を外れるときの手続き

見込みが130万円以上になって健康保険の扶養を外れることになったら、次の3つを手続きします。

  • 家族の勤め先に伝える家族の会社を通して、健康保険の扶養を外す手続きをします。年末調整で出す配偶者控除・配偶者特別控除の申告内容も、見込みにあわせて直してもらいます。
  • 健康保険に入る国民健康保険に入る場合は、お住まいの市区町村の窓口で、14日以内に届け出ます。
  • 国民年金を切り替える国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者に変わる手続きが必要(市区町村の窓口)。国民年金保険料を自分で納めることになる。保険料は月17,920円(令和8年度)です。
ポンちゃん
扶養を外れると保険料の負担が増えるけど、そのぶん稼げば手取りは逆転するよ。「ラインの手前でおさえる」か「しっかり超える」か、家族と話しておこうね。

5. 申告を忘れない

扶養の範囲でも、申告が必要なことがあります。1年の所得の合計が、基礎控除などの所得控除の合計を超えて、所得税がかかる人は、翌年2月16日〜3月15日に確定申告をします。

源泉徴収された税金が戻る場合などは、必要がなくても申告できます。所得税の確定申告をしないときは、住民税の申告が必要か、お住まいの市区町村に確認を。青色申告の65万円・55万円の控除は、期限内に申告することが条件です。

帳簿と領収書は、申告しない年も残しておきます(帳簿は7年、領収書・請求書などの書類は5年)。

主婦・主夫ルートのチェックリスト

  • 健康保険の扶養・家族の税金・自分の税金の3つのラインを確認した
  • 家族の勤め先の健康保険に、事業の収入の数え方を聞いた
  • 毎月の売上と経費を記録して、1年の見込みを立てている
  • 続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出した
  • 扶養を外れそうなら、家族と手続きを話し合った
  • 確定申告か住民税の申告が必要かを確認した
カタカタ
数字がいつ変わったかは「数字と期限まとめ」でまとめて確認できるよ。