フリーランスルート:仕事の取り方から契約・インボイス・もしもの備えまで
フリーランスは、税金の上では個人事業主です。開業届と青色申告で始めて、仕事の取り方、契約と請求のルール、インボイスを順に決めます。会社員とちがってケガやトラブルの守りが手薄なので、労災保険の特別加入と相談窓口も押さえておきましょう。
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フリーランスルートは5マス
- 1個人事業主として届け出るフリーランスも税金の上では個人事業主。開業届と青色申告からスタートします。
- 2仕事の取り方を決める知り合いの紹介、エージェント、クラウドソーシングを組み合わせます。
- 3契約と請求のルールを知るフリーランス法、源泉徴収、支払いの期日を押さえます。
- 4インボイスを決める取引先が会社なら、登録するかどうかを早めに考えます。
- 5ケガとトラブルに備える労災保険の特別加入と、無料の相談窓口を知っておきます。
1. 個人事業主として届け出る
フリーランスという特別な届け出はありません。税務署に開業届を出し、65万円控除などを使うなら青色申告承認申請書もいっしょに出します。開業届の期限は事業を始めた年の確定申告期限まで、青色申告の申請は青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内)です。
会社を辞めて独立する人は、健康保険と年金の切り替えも必要です。「脱サラ・退職ルート」で順番にまとめています。
届出の出し方は「届け出る」マスへ → 脱サラ・退職ルートへ →
2. 仕事の取り方を決める
仕事の取り方は大きく3つ。ひとつにしぼらず、組み合わせる人が多いです。
知り合い・前の職場から
いちばん手数料がかからない方法。独立前に「こういう仕事を受けます」と伝えておきましょう。
エージェント
担当者が案件を探し、条件の交渉や契約を手伝ってくれます。主にITエンジニア・デザイナー向けで、週何日・何か月という形の仕事が多めです。
クラウドソーシング
ネット上で仕事を探して応募します。職種が幅広く、実績づくりに向きます。報酬から手数料が引かれます。
PR主なフリーランスエージェント(順不同)
ITプロパートナーズ
- 登録・利用料
- 無料
- 対象
- エンジニア・マーケター・デザイナー
- 働き方
- 週2日からの案件が中心。約7割がリモート案件
- 手数料(マージン)
- 公式サイトに記載なし
週2〜3日の案件が多く、会社員から少しずつ独立したい人にも向く。
公式サイトで見るMidworks
- 登録・利用料
- 無料
- 対象
- ITエンジニア
- 支払いサイト
- 20日が一般的(案件によって違う)
- 手数料(マージン)
- 公式サイトに記載なし
- 保障・福利厚生
- 条件を満たせば、案件が途切れたときに報酬の60%を保障。交通費や書籍代の支給など(プラン加入が必要)
会社員から独立したばかりで、収入が途切れるのが不安な人向け。
公式サイトで見るPE-BANK
- 対象
- ITエンジニア
- 契約のしかた
- PE-BANKとエンジニアが共同で仕事を受ける「共同受注」
- 取り分
- エンジニアの分配率は初回85%から、回数に応じて最大90%(公開されている)
取り分の割合が公開されていて、手取りを計算しやすい。
公式サイトで見る内容は2026年10月19日に各社の公式サイトで確認したものです。エージェントの手数料(マージン)は公開していない会社が多いので、気になる人は面談で「自分の手取りがいくらになるか」を確認しましょう。
PR主なクラウドソーシング(順不同)
クラウドワークス
- 登録
- 無料
- 受注者の手数料
- 報酬のうち10万円以下の部分は20%、10万円超〜20万円以下の部分は10%、20万円超の部分は5%(別途消費税)
- タスク形式
- 一律20%(別途消費税)
ランサーズ
- 登録
- 無料
- 受注者の手数料
- 契約金額の16.5%(税込)
ココナラ
- 登録
- 無料
- 出品者の手数料
- 販売金額の22%(税込)
- しくみ
- 自分のスキルを「サービス」として出品し、買ってもらう
手数料は2026年10月19日に各社の公式サイトで確認したものです。最新の条件は公式サイトで確認してください。
3. 契約と請求のルールを知る
2024年11月から、フリーランスを守るフリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が始まりました。2024年11月1日施行。仕事を頼む側は、報酬や納期などの取引条件を書面やメールで示す義務がある。従業員を使う発注者は、報酬を成果物などを受け取った日から60日以内に支払う。
- 仕事を受けたら、報酬・納期・内容がメールや書面で示されているか確認する
- 報酬の支払日が「受け取りから60日以内」になっているか見る
- 一方的な値下げ・やり直しの押しつけは、法律で禁止されていることがある
- 口約束だけで始めず、やりとりは記録に残す
1か月以上の仕事では、受け取り拒否・報酬の減額・買いたたきなど7つの行為が禁止。6か月以上の仕事では、途中で打ち切るときに30日前までの予告が必要です。対象は従業員を使っていないフリーランスです。
報酬から税金が引かれることがある(源泉徴収)
原稿料・デザイン料・講演料などは、取引先が報酬から所得税を先に引いて払うことがあります。支払額100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%が、税金として先に引かれる。引かれた分は前払いした税金なので、確定申告で精算し、払いすぎなら戻ってきます。
4. インボイスに登録するか決める
個人事業主は、前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税は納めなくてよい。ただ、取引先が会社(消費税を納める事業者)だと、インボイス(登録番号の入った請求書)を求められることがあります。
登録を考えたい人
- 取引先の多くが会社
- 取引先からインボイスを求められた
急がなくてよい人
- お客さんが個人(消費者)中心
- 取引先が免税事業者や簡易課税の会社中心
登録すると、売上が1,000万円以下でも消費税の申告が必要になります。負担を軽くする特例として、「2割特例」は令和8年分まで。個人事業者は令和9年・10年分に「3割特例」を使える。
免税事業者が登録すると、登録を受けた日から2年間は消費税の申告が必要になります(取りやめても同じ)。
5. ケガとトラブルに備える
2024年11月から、企業などから業務委託を受けるフリーランスは、業種を問わず労災保険に特別加入できる。保険料は給付基礎日額(3,500円〜25,000円から選ぶ)×365日×0.3%。
例:給付基礎日額1万円なら年10,950円。申込みは特別加入団体を通じて行います。消費者だけから仕事を受けている人は対象外です。
契約や報酬など仕事上のトラブルを、弁護士に無料で相談できる窓口(第二東京弁護士会が運営し、国と連携)。報酬の未払いや、一方的な契約打ち切りなどで困ったときに。
会社員とちがって、退職金や厚生年金もありません。小規模企業共済やiDeCoなど、自分で備える制度は「開業後」マスで紹介しています。
フリーランスルートのチェックリスト
- 開業届と青色申告承認申請書を出した
- 仕事の取り方を2つ以上用意した
- 契約条件(報酬・納期・支払日)をメールや書面で受け取った
- 源泉徴収された額を記録している
- 取引先にあわせて、インボイスに登録するか決めた
- 労災保険の特別加入と、相談窓口を確認した